園芸種から見る系統樹– category –
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園芸種から見る系統樹
キントラノオ目:驚きの多様性と進化の新たな物語
キントラノオ目:DNAが明かす植物親戚図 マメ群(真正バラ類 I )キントラノオ目 キントラノオ目(Malpighiales)は、被子植物の中でも特に興味深い分類群の一つです。近年の分子系統学的研究により、この目の分類体系が大きく変更されました。ここでは、キントラノオ目の新しい分類体系とその意義について、園芸的に重要な種も交えながら考察します。 キントラノオ目の概要と重要性 キントラノオ目は、双子葉植物の中でも大きな分類群の一つで、約40科、716属、16,000種以上を含む多様な植物群です。この目に... -
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アブラナ目:DNAが明かす野菜と花の新たな系譜
アブラナ目の仲間たち:DNAが明かす新事実 アブラナ目(Brassicales) 食卓でおなじみのキャベツやブロッコリー、鮮やかな黄色の菜の花畑、ピリッと辛いワサビ、香り豊かなストックなど、これらはすべて私たちにとって身近なアブラナ目(Brassicales)の植物です。アブラナ目の植物は、世界中に約3,700種存在しています。この植物群は、野菜としてだけでなく、油料作物、観賞用植物、薬用植物など、様々な形で私たちの日常生活に深く関わっています。近年の分子生物学的研究により、この植物群の系統関係や進化... -
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ナデシコ目:砂漠の宝石から食卓の主役まで
驚きの多様性を秘めるナデシコ目の世界 ナデシコ目(Caryophyllales)は、被子植物の中でも特に多様性に富み、驚くべき適応能力を持つ植物群です。砂漠の過酷な環境に適応したサボテンから、私たちの食卓を彩るホウレンソウまで、この目に属する植物は実に幅広い生態的地位を占めています。近年の分子系統学的研究により、ナデシコ目の分類は大きく変更され、その結果、私たちのこの植物群に対する理解は劇的に深まりました。 本記事では、ナデシコ目の分類学的変遷、驚くべき多様性、進化の物語、そして人間... -
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ヤマモガシ目の進化と多様性:ゴンドワナ大陸からの遺産
太古の形態を受け継ぐ花々 ヤマモガシ目 ヤマモガシ目(Proteales)は、被子植物の主要なクレードの一つであり、その起源はゴンドワナ大陸にまで遡ります。この目には、ヤマモガシ科(Proteaceae)、スズカケノキ科 (Platanaceae)、アワブキ科 (Sabiaceae)、そしてハス科(Nelumbonaceae)が含まれます。 ここでは、ヤマモガシ目のヤマモガシ科に焦点を当ててみます。ヤマモガシ科は、オーストラリアを中心に、南半球に広く分布する植物群です。その中には、バンクシアやグレビレアのように、美しく個性的な花... -
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植物分類学の静かな革命:変わらぬ者達
変わらぬ外見に隠された進化の秘密 植物分類学の世界では、分子系統学の発展により多くの変革が起きています。しかし、一見すると変化がないように見える分類群も多く存在します。これらの「変化のない」分類群の裏には、実は興味深い進化の物語が隠されています。ここでは、APG体系への移行後も大きな変化が見られなかった21の目について、その安定性の理由と将来の展望を考えてみます。 1. マメ目(Fabales):分裂寸前の統一戦線 マメ目は、一見すると旧体系から新体系への移行で大きな変化がなかったよう... -
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キク科の仲間たち:DNAが明かす新事実
新分類が示す新たな近縁関係 植物の世界で最も多様で魅力的な花々を誇るキク目。その分類体系が、近年の分子系統学的研究により大きく変わりつつあります。この変革は、単なる学術的な興味にとどまらず、農業や薬学など、私たちの日常生活にも影響を与える可能性を秘めています。 旧体系から新体系への変化 従来のキク目の分類は、主に形態学的特徴に基づいて行われてきました。しかし、DNA解析技術の発展により、分子系統学的アプローチが可能になり、植物の進化の過程をより正確に追跡できるようになりまし... -
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豆の家族会議:マメ科の団結力
系統樹に問題あるが問題なし 2009年、APG IIIで広義のマメ科(Fabaceae sensu lato)を、分子系統学の成果に基づいて、狭義のマメ科(Fabaceae sensu stricto)と、ジャケツイバラ科(Caesalpiniaceae)、ネムノキ科(Mimosaceae)に分割することが提案されました。 従来マメ目は、マメ科(Fabaceae sensu lato)、キラヤ科(Quillajaceae)、スリアナ科(Surianaceae)、ヒメハギ科(Polygalaceae)で構成されていましたが、APG IIIでマメ科(Fabaceae sensu stricto)、キラヤ科(Quillajaceae)、スリアナ... -
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ツツジの園の大造園:果実植物から食虫植物まで
ツツジ目の進化と分類の変遷 クロンキスト体系(1981年)では、ツツジ目は以下の科を含んでいました。 ツツジ科 (Ericaceae) イチヤクソウ科 (Pyrolaceae) シャクジョウソウ科 (Monotropaceae) ガンコウラン科 (Empetraceae) キリラ科 (Cyrillaceae) リョウブ科 (Clethraceae) グルッビア科 (Grubbiaceae) エパクリス科 (Epacridaceae) APG体系では、クロンキスト体系のツツジ目から移動した科はありません。むしろ、他の目から多くの科がツツジ目に統合されました。 APG体系でツツジ目に加えられた科とその由... -
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花々の大盛りオオバコ
ゴマノハグサ科からオオバコ科へ シソ類シソ目オオバコ科 クロンキスト体系時代からAPG IVへの再配置 クロンキスト体系時代、オオバコ科は独立した科として認識されていましたが、その分類学的位置づけは不安定でした。APG III(2009年)では、オオバコ科はシソ目に含まれるようになりました。しかし、分子系統学的研究の進展により、APG IV(2016年)でオオバコ科の範囲が大幅に拡大されました。 この再配置により、従来別の科とされていた多くの属がオオバコ科に統合されました。特に注目すべきは、旧ゴマノ... -
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ラン科植物の最新分類:進化と多様性の全貌
ラン科の細分化:美しき混沌ー大改革が描く進化の物語 単子葉類キジカクシ目ラン科 単子葉類キジカクシ目ラン科 ラン科の魅力と重要性 ラン科(Orchidaceae)は、その多様性と美しさで世界中の人々を魅了し続けている被子植物の一大科です。約28,000種を擁するこの科は、地球上のほぼすべての大陸と気候帯に分布し、その適応能力と進化の多様性は生物学者たちを魅了してきました。 ランの花の複雑な構造や、昆虫との共進化関係、さらには菌類との共生など、ラン科の植物は生態学的にも進化学的にも非常に興味...