クレマチス：優雅な庭の女王

　クレマチス（Clematis）は、その優雅な花姿と豊富な品種で多くの園芸愛好家を魅了する人気のつる植物です。適切な剪定と管理で長年楽しめる魅力的な植物ですが、種類によって育て方が異なるため、正しい知識が必要です。この記事では、クレマチスの分類や育て方、おすすめの品種などを紹介します。

クレマチスの種類：美しい花と多彩な品種で魅了する人気のつる植物

クレマチスの基本情報

　クレマチス（Clematis）は、キンポウゲ目キンポウゲ科キンポウゲ亜科イチリンソウ連センニンソウ（クレマチス）属の多年生つる植物です。世界中に約300種が自生し、園芸品種は3000以上あるとされています。その美しい花と豊富な品種から「つる植物の女王」とも呼ばれ、庭園や鉢植えで広く栽培されています。

クレマチスの分類

　クレマチスは主に剪定方法によって分類されますが、開花時期や生育特性による分類も補足的に用いられます。

１． 剪定方法に基づく分類

a) 旧枝咲き（Group 1）
前年の枝に花芽をつけ、早春に開花します。剪定は花後に行います。

b) 新旧両枝咲き（Group 2）
前年の枝と当年の新しい枝の両方に花をつけます。軽い剪定を行います。

c) 新枝咲き（Group 3）
その年に伸びた新しい枝に花をつけます。冬に地際まで強く剪定します。

２． 開花時期による分類

• 春咲き：3月〜5月
• 初夏咲き：5月〜6月
• 夏咲き：6月〜8月
• 秋咲き：8月〜10月

３．生育特性による分類

　開花時期、花の形状、生育特性などの特徴に基づく分類で、園芸家や育種家が品種改良や栽培管理を行う際の指針となる分類

1. モンタナ系：早春に開花する大輪種。耐寒性が強く、成長が早い。
2. アルピナ系：高山性の小輪種。鈴型の花を咲かせる。
3. マクロペタラ系：大きな花弁を持つ種。
4. アルマンディ系：常緑性で、冬から春に開花する。
5. シルホサ系：常緑性で、冬に開花する小輪種。
6. パテンス系：春に開花する大輪種。
7. ラヌギノーサ系：大輪で、夏に開花する。
8. フロリダ系：中輪で、春から秋まで長期間開花する。
9. テキセンシス系：テキサス原産の種。鐘型の花を咲かせる。
10. ビチセラ系：夏から秋に開花する中輪種。
11. インテグリフォリア系：草本性で、直立する茎を持つ。
12. ヴィオルナ系：北米原産の種。鐘型や筒型の花を咲かせる。
13. タングーチカ系：中国原産の種。黄色い花を咲かせる。
14. オリエンタリス系：東洋系の種。冬に開花する。
15. レクタ系：直立性の草本種。
16. ヘラクレイフォリア系：草本性で、複葉を持つ。
17. フサザキ系（Atragene系）：早春に開花する小輪種。
18. エベリナ系：小型で、鐘型の花を咲かせる。
19. ピトケリ系：小型で、筒状の花を咲かせる。

代表的な系統や品種

各グループの代表的な系統の品種を5種類ずつ紹介します。

a) 旧枝咲き（Group 1）

• モンタナ系：

1. モンタナ ‘ルーベンス’（Clematis montana ‘Rubens’）
   学名：Clematis montana var. rubens ‘Rubens’
   紹介：淡いピンク色の4弁花を咲かせる早咲き芳香品種。花弁は幅広で平開し、春に旧枝から豊富に開花する。
   photo: by Bernard Spragg. NZ
2. モンタナ ‘エリザベス’（Clematis montana ‘Elizabeth’）
   学名：Clematis montana ‘Elizabeth’
   紹介：淡いピンク色の大輪4弁花を咲かせる品種。花弁は幅広く、バニラのような香りがある。春に旧枝から多数開花する。
   photo: by F. D. Richards
3. モンタナ ‘スターライト’（Clematis montana ‘Starlight’）
   学名：Clematis montana ‘Starlight’
   紹介：白色の星形の花を咲かせる八重品種。中心にピンク色の雄しべが映える。春に旧枝から多数開花する。
4. モンタナ ‘ヴァン ゴッホ’（Clematis montana ‘Van Gogh’）
   学名：Clematis montana ‘Van Gogh’
   紹介：濃いピンク色の4弁花を咲かせる芳香品種。花弁は幅広で、外側が濃く内側が淡いグラデーションになる。春に旧枝から豊富に開花する。カラーリーフとして銅葉も楽しめる。
5. モンタナ ‘スノーフレーク’（Clematis montana ‘Snowflake’）
   学名：Clematis montana ‘Snowflake’
   紹介：純白の4弁花を咲かせる強健な芳香品種。花弁は幅広で平開し、雪の結晶のような形状。春に旧枝から多数開花する。
   photo: by Amanda Slater

• アルピナ系：

1. フランシス・リビス (Frances Rivis)
   学名: Clematis alpina ‘Frances Rivis’
   青紫色の釣鐘型の花を咲かせ、花弁は4枚で先端が反り返ります。
2. ヘルシングボーグ (Helsingbourg)
   学名: Clematis alpina ‘Helsingbourg’
   美しいブルーの釣鐘型の花で、花弁は4枚あり、エレガントな印象です。
3. ウィリー (Willy)
   学名: Clematis alpina ‘Willy’
   濃い青紫色の大きな釣鐘型の花を咲かせ、花弁は4枚で厚みがあります。
4. パメラ・ジャックマン (Pamela Jackman)
   学名: Clematis alpina ‘Pamela Jackman’
   深い青紫色の釣鐘型の花で、花弁は4枚あり、端正な形をしています。
   photo: by Mark
5. ルビー (Ruby)
   学名: Clematis alpina ‘Ruby’
   深い赤紫色の釣鐘型の花を咲かせ、花弁は4枚で光沢があります。

• マクロペタラ系：

1. マークハム・ピンク (Markham’s Pink)
   学名: Clematis macropetala ‘Markham’s Pink’
   淡いピンク色の八重咲きの花を咲かせ、花弁は多数あり、優美な印象です。
2. ブルーバード (Bluebird)
   学名: Clematis macropetala ‘Bluebird’
   鮮やかな青色の半八重咲きの花で、花弁は多数あり、華やかな印象です。
3. ウェステルプラッテ (Westerplatte)
   学名: Clematis macropetala ‘Westerplatte’
   深いピンク色の花を咲かせ、花弁は６枚あり、華やかな印象です。
   photo: by F. D. Richards
4. ホワイト・スワン (White Swan)
   学名: Clematis macropetala ‘White Swan’
   純白の半八重咲きの花で、花弁は多数あり、清楚な印象を与えます。
5. メイドウェル・ホール (Maidwell Hall)
   学名: Clematis macropetala ‘Maidwell Hall’
   淡い青紫色の八重咲きの花を咲かせ、花弁は多数あり、優雅な印象です。
6. ウェッセルトン（Wesselton）

• アルマンディ系：

1. アップルブロッサム (Apple Blossom)
   学名: Clematis armandii ‘Apple Blossom’
   淡いピンク色の星型の花を咲かせ、花弁は6枚で香りがあります。
   photo: by Megan Hansen
2. スノードリフト (Snowdrift)
   学名: Clematis armandii ‘Snowdrift’
   純白の星型の花で、花弁は6枚あり、清楚で爽やかな印象です。
3. エンジェルウィング (Enham)
   学名: Clematis armandii ‘Enham’
   クリーム色の星型の花を咲かせ、花弁は6枚で大型の花です。
4. リトルホワイトチャーム (Little White Charm)
   学名: Clematis armandii ‘Little White Charm’
   小型の白い星型の花で、花弁は6枚あり、コンパクトな印象です。
5. ピンクパーフェクション (Pink Perfection)
   学名: Clematis armandii ‘Pink Perfection’
   濃いピンク色の星型の花を咲かせ、花弁は6枚で華やかな印象です。

• シルホサ系：

1. ゴールデンチャーム (Golden Charm)
   学名: Clematis cirrhosa var. balearica ‘Golden Charm’
   クリーム色の釣鐘型の花を咲かせ、花弁は4枚で内側に赤い斑点があります。
2. フリックル (Freckles)
   学名: Clematis cirrhosa ‘Freckles’
   クリーム色の釣鐘型の花で、花弁は4枚あり、内側に赤褐色の斑点が特徴的です。
   photo: by Amanda Slater
3. ウィズレイ・クリーム (Wisley Cream)
   学名: Clematis cirrhosa ‘Wisley Cream’
   クリーム色の釣鐘型の花を咲かせ、花弁は4枚で純粋な色合いが特徴です。
   photo: by Amanda Slater
4. ジングルベルス (Jingle Bells)
   学名: Clematis cirrhosa ‘Jingle Bells’
   クリーム色の釣鐘型の花で、花弁は4枚あり、冬に咲く珍しい品種です。
5. オウバ (Ourika Valley)
   学名: Clematis cirrhosa var. purpurascens ‘Ourika Valley’
   淡い紫色の釣鐘型の花を咲かせ、花弁は4枚で内側に濃い斑点があります。

b) 新旧両枝咲き（Group 2）

• パテンス系：

1. ザ・プレジデント (The President)
   学名: Clematis ‘The President’
   深い青紫色の大輪の花を咲かせ、花弁は6-8枚で豪華な印象です。
   photo: by F. D. Richards
2. ミス・バタワース (Miss Bateman)
   学名: Clematis ‘Miss Bateman’
   純白の大輪の花で、花弁は6-8枚あり、中心部に赤紫色の雄しべが美しいコントラストを作ります。
   photo: by Tracie Hall
3. ネリー・モーザー (Nelly Moser)
   学名: Clematis ‘Nelly Moser’
   淡いピンク色の大輪の花を咲かせ、花弁は6-8枚で中央に濃いピンクの筋が入る特徴的な花です。
   photo: by Sassy Gardener
4. ダニエル・デローンダ (Daniel Deronda)
   学名: Clematis ‘Daniel Deronda’
   濃い青紫色の大輪の花で、花弁は6-8枚あり、中心部に赤紫色の雄しべが映えます。
   photo: by Leonora (Ellie) Enking
5. ミセス・チョルモンデリー (Mrs. Cholmondeley)
   学名: Clematis ‘Mrs. Cholmondeley’
   淡い青紫色の大輪の花を咲かせ、花弁は6-8枚で優雅な印象を与えます。
   photo: by Joel Bradford

• ラヌギノーサ系：

1. ヘンリー (Henryi)
   学名: Clematis ‘Henryi’
   純白の大輪の花で、花弁は6-8枚あり、中心部に黄色の雄しべが映えます。
   photo: by F. D. Richards
2. ラスラスティン (Lasurstern)
   学名: Clematis ‘Lasurstern’
   鮮やかな青紫色の大輪の花を咲かせ、花弁は6-8枚で光沢があります。
3. ビクトリア (Victoria)
   学名: Clematis ‘Victoria’
   深い紫色の大輪の花で、花弁は6-8枚あり、豪華な印象を与えます。
4. ビューティー・オブ・ウォーキング (Beauty of Worcester)
   学名: Clematis ‘Beauty of Worcester’
   青紫色の大輪の花を咲かせ、花弁は6-8枚で半八重咲きの品種です。
   photo: by 阿橋花譜 HQ Flower Guide
5. マダム・ル・クルトル (Madame le Coultre)
   学名: Clematis ‘Madame le Coultre’
   純白の大輪の花で、花弁は6-8枚あり、エレガントな印象を与えます。

• フロリダ系：

1. シエボルディ (Sieboldii)
   学名: Clematis florida var. sieboldiana
   白地に紫色の雄しべが特徴的な花で、花弁は4-6枚あり、独特の美しさがあります。
   photo: by Rob Thurman
2. ビコロー (Bicolor)
   学名: Clematis Bicolorr’
   白地に紫色の雄しべが中心にある花で、花弁は4-6枚あり、コントラストが美しいです。
3. フロリダ・アルバ・プレナ (Florida Alba Plena)
   学名: Clematis florida ‘Alba Plena’
   純白の八重咲きの花を咲かせ、花弁は多数あり、優雅な印象です。
4. ピンク・チャーム (Pink Charm)
   学名: Clematis ‘Pink Charm’
   淡いピンク色の花で、花弁は4-6枚あり、中心に濃いピンク色の雄しべがあります。
5. フロリダ・フローレ・プレノ (Florida Flore Pleno)
   学名: Clematis florida ‘Flore Pleno’
   緑がかった白色の八重咲きの花を咲かせ、花弁は多数あり、独特の色合いが特徴です。

• テキセンシス系：

1. プリンセス オブ ウェールズ (Princess of Wales)
   学名: Clematis ‘Princess of Wales’
   淡いピンク色のチューリップ型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返り、優雅な印象。
2. プリンセス ダイアナ (Princess Diana)
   学名: Clematis ‘Princess Diana’
   チューリップ型の深紅色の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返り、エレガントな印象。
   photo: by Sebastian Müller
3. テキセンシス プリンセス ケイト (Texensis Princess Kate)
   学名: Clematis texensis ‘Princess Kate’
   白地にピンクの縁取りのある鐘型の花を咲かせる。花弁は4-6枚で先端が反り返る。
4. ドゥーシェス オブ アルバニー (Duchess of Albany)
   学名: Clematis texensis ‘Duchess of Albany’
   ピンク色の鐘型の花を咲かせ、中心部は濃いピンク色。花弁は4-6枚で先端が反り返る。
5. エトワール ロゼ (Etoile Rose)
   学名: Clematis ‘Etoile Rose’
   ピンク色の星型の花を咲かせる。花弁は4-6枚で先端が尖り、中心部が濃い色調。

• ビチセラ系：

1. マダム ジュリア コレボン (Madame Julia Correvon)
   学名: Clematis ‘Madame Julia Correvon’
   鮮やかな赤紫色の4弁花を咲かせ、花弁は波打ち、中心部に黄色い雄しべが目立つ。
2. ビチセラ ポーリッシュ スピリット (Viticella Polish Spirit)
   学名: Clematis viticella ‘Polish Spirit’
   濃い紫色の4弁花を多数咲かせる。花弁は幅広く、やや丸みを帯びている。
   photo: by S Arrowsmith
3. エトワール ヴィオレット (Etoile Violette)
   学名: Clematis ‘Etoile Violette’
   深い紫色の星型の花を咲かせる。花弁は4-5枚で、中心部に黄色い雄しべが映える。
   photo: by Acabashi
4. パープレア プレナ エレガンス (Purpurea Plena Elegans)
   学名: Clematis ‘Purpurea Plena Elegans’
   濃い赤紫色の八重咲きの花を咲かせる。花弁は多数で、ポンポンのような形状。
   photo: by Mark
5. ベニー (Venosa Violacea)
   学名: Clematis ‘Venosa Violacea’
   白地に紫色の筋が入る4弁花を咲かせる。花弁は幅広く、エレガントな印象。
   photo: by peganum

c) 新枝咲き（Group 3）

• ビチセラ系：

1. ビチセラ アバンギャルド (Viticella Avant-Garde)
   学名: Clematis viticella ‘Avant-Garde’
   赤紫色の半八重咲きの花を咲かせる。中心部の花弁が小さく、外側の花弁が大きい独特の形状。
   photo: by Tauralbus
2. ビチセラ マダム エミリー アンドレ (Viticella Madame Emile Andre)
   学名: Clematis viticella ‘Madame Emile Andre’
   ピンク色の4弁花を咲かせ、花弁の中心部が濃い色調。花弁は幅広く、やや丸みを帯びている。
3. ビチセラ ミニジェット (Viticella Minuet)
   学名: Clematis viticella ‘Minuet’
   淡いピンク色の地に濃いピンク色の筋が入る4弁花を咲かせる。花弁は幅広く、優雅な印象。
   photo: by Acabashi
4. ビチセラ ロイヤル ベルベット (Viticella Royal Velvet)
   学名: Clematis viticella ‘Royal Velvet’
   深い紫色のビロードのような質感の4弁花を咲かせる。花弁は幅広く、豪華な印象。
5. ビチセラ エトワール バイオレット (Viticella Etoile Violette)
   学名: Clematis ‘Etoile Violette’
   深い紫色の花を咲かせる。花弁は通常4-6枚で、中心に黄色い雄しべが目立つ。花の直径は約10-12cmほど。夏から初秋にかけて豊富に開花する。つる性で、高さ3-4mほどまで成長する。
   photo: by john shortland

• テキセンシス系：

1. テキセンシス ダッチェス オブ オルバニー (Texensis Duchess of Albany)
   学名: Clematis texensis ‘Duchess of Albany’
   ピンク色のチューリップ型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返り、内側に濃いピンクの筋がある。
2. テキセンシス グレイテル (Texensis Gravetye Beauty)
   学名: Clematis texensis ‘Gravetye Beauty’
   深い赤色のチューリップ型の花を咲かせる。花弁は4枚で厚みがあり、先端が反り返る。
   photo: by Leonora (Ellie) Enking
3. テキセンシス サー トレバー ローレンス (Texensis Sir Trevor Lawrence)
   学名: Clematis texensis ‘Sir Trevor Lawrence’
   明るい赤色のチューリップ型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返り、内側が淡い色調。
4. テキセンシス エトワール ドゥ マラコフ (Texensis Etoile de Malicorne)
   学名: Clematis texensis ‘Etoile de Malicorne’
   ピンク色の星型の花を咲かせる。花弁は6-8枚で先端が尖り、中心部が濃い色調。
5. テキセンシス ピンク ファンタジー (Texensis Pink Fantasy)
   学名: Clematis texensis ‘Pink Fantasy’
   淡いピンク色で、中心部がより濃いピンク色の花を咲かせる。花弁は6枚で開いた形状で、開花時期は夏から秋。

• インテグリフォリア系：

1. インテグリフォリア アラベラ (Integrifolia Arabella)
   学名: Clematis ‘Arabella’
   青紫色の鐘型の花を咲かせる。花弁は4-6枚で先端が反り返り、中心部に黄色い雄しべが目立つ。
2. インテグリフォリア ブルー リボン (Integrifolia Blue Ribbon)
   学名: Clematis integrifolia ‘Blue Ribbon’
   濃い青紫色の鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返り、エレガントな印象。
3. インテグリフォリア ロザンヌ (Integrifolia Rosalyn)
   学名: Clematis ‘Rosalyn’
   ピンク色の鐘型の花を咲かせる。花弁は4-6枚で厚みがあり、先端が反り返る。
4. インテグリフォリア ヘンドリクシー (Integrifolia Hendryetta)
   学名: Clematis ‘Hendryetta’
   淡い青紫色の星型の花を咲かせる。花弁は6-8枚で先端が尖り、中心部が濃い色調。
5. インテグリフォリア ジョアン ピカート (Integrifolia Joan Picton)
   学名: Clematis ‘Joan Picton’
   深い紫色の鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返り、豪華な印象。

• ヴィオルナ系：

1. ヴィオルナ クリスパ (Viorna Crispa)
   学名: Clematis crispa
   薄紫色の釣鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で薄く、波打った縁が特徴的。花の先端が反り返り、内側に繊細な模様がある。
   photo: by sonnia hill
2. ヴィオルナ マーモレイト (Viorna Marmoraria)
   学名: Clematis ‘Marmoraria’
   白地にピンクの斑が入る釣鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返る。
3. ヴィオルナ ピッチャー (Viorna Pitcher)
   学名: Clematis pitcheri
   紫色の釣鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で厚みがあり、先端が反り返る。
   photo: by peganum
4. ヴィオルナ フレックレス (Viorna Freckles)
   学名: Clematis ‘Freckles’
   クリーム色の地に紫色の斑点が入る釣鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返る。
   photo: by Andrea
5. ヴィオルナ ヴェルシコロル (Viorna Versicolor)
   学名: Clematis versicolor
   淡い紫色から濃い紫色へと変化する釣鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返る。
   photo: by VISUALIZED PERCEPTION

• タングーチカ系：

1. タングーチカ ビル マッケンジー (Tangutica Bill MacKenzie)
   学名: Clematis ‘Bill MacKenzie’
   黄色の釣鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返り、内側に赤褐色の斑点がある。
2. タングーチカ ゴールデン タイガー (Tangutica Golden Tiara)
   学名: Clematis ‘Golden Tiara’
   明るい黄色の星型の花を咲かせる。花弁は4-6枚で先端が尖り、中心部に赤褐色の雄しべが映える。
3. タングーチカ ランバーン プリムローズ (Tangutica Lambton Park)
   学名: Clematis ‘Lambton Park’
   淡い黄色の釣鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で厚みがあり、先端が反り返る。
4. タングーチカ コーラルベル (Tangutica Corry)
   学名: Clematis tangutica ‘Corry’
   鮮やかな黄色の釣鐘型の花を咲かせる。花弁は4枚で先端が反り返り、中心にオレンジ色の雄しべがある。
5. タングーチカ マイ エンジェル (Tangutica My Angel)
   学名: Clematis ‘My Angel’
   オレンジがかった黄色の星型の花を咲かせる。花弁は4-6枚で先端が尖り、外側に赤褐色の色合いがある。

愛好家に人気の高い品種

クレマチス愛好家の間で特に人気の高い、稀少で魅力的な6品種を紹介します。

1. クレマチス ‘ブルー・ライト’（Blue Light）
   学名: Clematis ‘Blue Light’
   新枝咲きテッセン系
   花色: 淡い青紫色
   花の形: 八重咲き、中輪
   芳香性: わずかに香る
   photo: by 阿橋花譜 HQ Flower Guide
   　’ブルー・ライト’は、その名の通り淡い青紫色の優美な八重咲き花を咲かせる珍しいクレマチスです。中輪サイズの花は、幾重にも重なった花弁が光を受けて透明感のある美しさを放ちます。わずかに漂う甘い香りも魅力的です。テッセン系の中でも八重咲きは稀少で、その上、青紫色という珍しい色彩を持つことから、クレマチスマニアの間で非常に人気が高い品種です。丈夫で育てやすく、繰り返し咲く性質も魅力的で、庭や鉢植えで長期間楽しむことができます。

2. クレマチス ‘マリア・コーネリッセン’（Maria Cornelissen）
   学名: Clematis ‘Maria Cornelissen’
   新旧枝咲きビチオラ系
   花色: 白地にピンクのストライプ
   花の形: 一重咲き、大輪
   芳香性: 無香
   
   　’マリア・コーネリッセン’は、純白の地にピンクのストライプが入る大輪の花を咲かせる美しいクレマチスです。一重咲きの花弁は幅広く、中心にある黄色い雄蕊との対比が見事です。香りはありませんが、その視覚的な美しさは圧倒的です。ビチセラ系の中でも特に大輪で、花色のコントラストが鮮やかなことから、マニアの間で高く評価されています。また、比較的丈夫で育てやすく、初夏から秋まで長期間開花を楽しめることも、人気の理由の一つです。その独特の花色と大輪の花形は、庭や花壇のアクセントとして最適で、多くのガーデナーを魅了しています。

3. クレマチス ‘プリンス チャールズ’（Prince Charles）
   学名: Clematis ‘Prince Charles’
   新枝咲きビチセラ系
   花色: 淡い青紫色（ラベンダーブルー）
   花の形: 一重咲き、中輪
   芳香性: 無香
   photo: by K M
   　’プリンス チャールズ’は、優雅な淡い青紫色の花を咲かせる魅力的なクレマチスです。一重咲きの中輪花は、通常6枚の花弁からなり、中心の淡黄色の雄蕊との調和が美しいです。香りはありませんが、その柔らかな色合いは見る者を魅了します。ビチセラ系の中でも特に繊細な色彩を持つことから、パステルカラーを好むクレマチスマニアの間で非常に人気があります。また、コンパクトな成長と長期間の開花期間、そして丈夫で育てやすい性質も、多くのガーデナーを惹きつける理由となっています。鉢植えでも地植えでも美しく育ち、小さな庭やコテージガーデンにも適していることから、様々なガーデンスタイルを楽しむマニアにとって一押しの品種となっています。

4. クレマチス ‘ネリー モーザー’（Nelly Moser）
   学名: Clematis ‘Nelly Moser’
   旧枝咲きパテンス系
   花色: 淡いピンク地に濃いピンクのバー
   花の形: 一重咲き、大輪
   芳香性: 無香
   photo: by F. D. Richards
   　’ネリー モーザー’は、淡いピンクの地色に濃いピンクのバーが入る大輪の花を咲かせる華やかなクレマチスです。一重咲きの花弁は幅広く、8枚程度が整然と並び、中心の濃い赤紫色の雄蕊との対比が印象的です。香りはありませんが、その大きな花と鮮やかな色彩のコントラストは見る者を魅了します。パテンス系の中でも特に大輪で、花色のコントラストが際立つことから、クレマチスマニアの間で高く評価されています。春に旧枝から、夏に新枝から開花する特性も魅力的で、長期間楽しむことができます。その華やかな花姿と印象的な色彩は、多くのガーデナーを魅了し、フォーマルガーデンやアーチ、パーゴラなどの構造物との相性も良いことから、様々な庭づくりを楽しむマニアにとって人気の高い品種です。

5. クレマチス ‘ダイアモンド・ボール’（Diamond Ball）
   学名: Clematis ‘Diamond Ball’
   新枝咲きテッセン系
   花色: 白色から淡い青紫色
   花の形: 八重咲き、中輪
   芳香性: わずかに香る
   
   　’ダイアモンド・ボール’は、その名の通り宝石のように輝く八重咲きの花を咲かせる珍しいクレマチスです。花は最初白色で咲き、徐々に淡い青紫色に変化していきます。中輪サイズの花は、幾重にも重なった花弁が球状に広がり、まるでダイアモンドを散りばめたようなキラキラとした輝きを放ちます。わずかに漂う甘い香りも魅力的です。テッセン系の中でも八重咲きは稀少で、その上、花色が変化するという特徴を持つことから、クレマチスマニアの間で非常に人気が高く、垂涎の的となっています。コンパクトな成長と長期間の開花期間、そして丈夫で育てやすい性質も、多くのガーデナーを惹きつける理由となっています。鉢植えでも美しく育つため、限られたスペースでガーデニングを楽しむ都市部の園芸愛好家にも高く評価されています。

6. ホリピラータクレマチス（Horripilate Clematis）
   学名: Clematis horripilata
   花色: 淡緑黄色
   花の形: 小さな花を複数つける。花弁は細長く、線形で、緑色の花弁と黄色の雌しべが特徴的
   芳香性: 不明
   
   　ホリピラータクレマチスは、東南アジアおよび南アジアの湿潤な温帯林に自生する珍しいクレマチス種です。海抜51メートルまでの比較的低い標高に生育し、幅広い披針形の葉と3又に分かれた巻きひげを持つ多年生のつる植物です。この種の最も魅力的な特徴は、その独特な花の構造と色彩にあります。淡緑黄色の小さな花が集まって咲く様子は、一般的なクレマチスとは一線を画す珍しい光景を作り出します。緑色の細長い花弁と黄色の雌しべのコントラストは、植物愛好家の目を引く独特の美しさを持っています。
   　限られた地域にのみ自生する珍しい種であり、栽培が困難で稀少価値があります。比較的新しく記載された種であり、その生態や特性についてまだ研究の余地があることから、植物学的にも興味深い対象です。

　以上の稀少品種は入手が難しく、価格も高めですが、その独特の美しさから多くのクレマチス愛好家を魅了しています。

クレマチスの育て方

a) 植え付け

• 日当たりと風通しの良い場所を選びます。
• 根元は日陰になるようにします。
• 深さ40cm程度の穴を掘り、腐葉土と堆肥を混ぜた土を入れます。

b) 水やり

• 植え付け後1年は土が乾かないよう頻繁に水やりをします。
• 根が張ったら、土の表面が乾いたら水やりする程度で大丈夫です。

c) 肥料

• 春と秋に緩効性の化成肥料を与えます。
• 開花期には液体肥料を2週間に1回程度与えると良いでしょう。

d) 剪定

• グループごとに適切な剪定方法を行います（上記分類参照）。

e) 誘引

• 支柱やフェンスなどに誘引して育てます。
• 新芽が10cm程度伸びたら、こまめに誘引します。

クレマチスの魅力

a) 多様な花の形と色
クレマチスの花は、一重や八重、小輪や大輪など様々な形があり、色も白、ピンク、赤、紫、青、黄など多彩です。

b) 長い開花期間
品種の選び方次第で、春から秋まで長期間花を楽しむことができます。

c) 垂直空間の演出
つる性植物なので、限られたスペースでも立体的な緑と花を楽しめます。

d) 他の植物との相性
バラやアジサイなど、他の植物と組み合わせることで美しい景観を作り出せます。

e) 育種の楽しみ
熱心な愛好家は交配による新品種の作出を楽しむこともできます。

注意点とトラブル対処法

a) 根腐れ

• 症状：葉が黄色くなり、生育が悪くなる。
• 対策：排水性の良い土壌を使用し、水はけを良くする。

b) うどんこ病

• 症状：葉に白い粉状のものが付着する。
• 対策：風通しを良くし、殺菌剤を散布する。

c) クレマチス萎凋病

• 症状：突然萎れて枯れる。
• 対策：抵抗性品種を選ぶ。発症した株は早めに処分する。

d) アブラムシ

• 症状：新芽や蕾に小さな虫が群がる。
• 対策：水で洗い流すか、殺虫剤を散布する。

e) 寒害

• 症状：冬の寒さで枝が枯れる。
• 対策：寒冷地では冬期に根元をわらなどで保護する。

クレマチスの毒性と取り扱いについて

　クレマチスは美しい花を咲かせる人気の園芸植物ですが、毒性があるため取り扱いには注意が必要です。以下にクレマチスの毒性と取り扱い上の注意点をまとめます:

クレマチスの毒性:

1. 有毒成分:

• プロトアネモニンという化合物を含んでいます。
• この成分は特に植物の茎や葉に多く含まれています。

2. 毒性の影響:

• 皮膚に接触すると炎症や発疹を引き起こす可能性があります。
• 摂取すると口や喉の痛み、吐き気、嘔吐、下痢などの症状が現れることがあります。
• 大量に摂取すると、より深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

3. 毒性の強さ:

• クレマチスの種類によって毒性の強さは異なります。
• 一般的に、野生種の方が園芸品種よりも毒性が強い傾向があります。

取り扱い上の注意点:

1. 手袋の着用:

• クレマチスを扱う際は、必ず園芸用の手袋を着用してください。
• これにより、有毒成分との直接的な皮膚接触を防ぐことができます。

2. 長袖・長ズボンの着用:

• 剪定や植え替えなどの作業時は、肌の露出を最小限に抑えるため、長袖と長ズボンを着用しましょう。

3. 作業後の手洗い:

• クレマチスを扱った後は、必ず石鹸で手をよく洗ってください。
• 目や口を触る前に手を洗うことが特に重要です。

4. 子供やペットへの注意:

• クレマチスを子供やペットの手の届かない場所に植えるか、アクセスを制限してください。
• 誤って摂取しないよう、監督することが大切です。

5. 剪定時の注意:

• 剪定時に出る植物の汁液に注意してください。
• 必要に応じて保護メガネを着用することも検討しましょう。

6. 適切な廃棄:

• 剪定した枝や葉は、子供やペットが触れないよう適切に廃棄してください。

7. 症状が出た場合の対応:

• 皮膚に炎症が現れた場合は、すぐに水で十分に洗い流してください。
• 摂取した場合や重度の症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診してください。

8. 他の植物との混植:

• クレマチスを他の植物と混植する場合、その植物の世話をする際にもクレマチスとの接触に注意が必要です。

　これらの注意点を守ることで、クレマチスの美しさを安全に楽しむことができます。適切な取り扱いと注意を払えば、クレマチスは庭や園芸を彩る素晴らしい植物となります。

まとめ

　クレマチスは、その多様な花の形と色、長い開花期間、そして垂直空間を彩る能力から、多くの園芸愛好家に愛されている植物です。適切な剪定と管理を行えば、長年にわたって美しい花を楽しむことができます。

　初心者の方は、新枝咲き（Group 3）の品種から始めるのがおすすめです。これらは強剪定に耐えるため、管理が比較的容易です。経験を積んだら、より繊細な管理が必要な旧枝咲き（Group 1）や新旧両枝咲き（Group 2）にも挑戦してみてください。

　クレマチスの魅力は、品種の多様性にあります。一つの庭に異なる色や咲き方の品種を植えることで、春から秋まで変化に富んだ景観を楽しむことができます。また、バラやアジサイなど他の植物と組み合わせることで、より豊かな庭づくりが可能です。

　クレマチスの栽培には多少の手間がかかりますが、その美しさは十分に労力に値します。適切な管理と愛情を持って育てれば、クレマチスは長年にわたって庭を彩り続ける、まさに「庭の女王」となるでしょう。

　これからクレマチス栽培を始める方も、すでに経験のある方も、この優雅な植物の魅力にさらに引き込まれることでしょう。クレマチスの世界は深く、探究すればするほど新たな発見があります。ぜひ、あなたの庭にクレマチスの美しさを取り入れてみてください。

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