日本固有のユリの王様

一般名・商品名

ヤマユリ

英名

Mountain lily、Golden-rayed lily、Gold-banded lily

生態系被害防止外来種リスト（2020.11.02改訂）

収載	区分	法的対応	栽培
なし	日本固有種	なし	注意点

紹介

　ユリ科ユリ属に属する多年草、学名は Lilium auratum で、花季は7月から8月です。日本特産のユリでユリの王様といわれ、本州の北陸地方を除く近畿地方以北の山地に自生します。特に日当たりのよい原野や丘陵地に生育します。

　花は大輪で純白、直径15-18cmにもなる巨大な花を横向きに咲かせます。花被片の内側中心には黄色の太い筋があり、紅褐色の小さな斑点が散らばる特徴があります。強い芳香があり、その香りは数十メートル先まで漂うほどです。葉は深緑色の広披針形で、茎に互生してつきます。

　育成には日当たりのよい場所が適していますが、真夏の直射日光は避けます。排水の良い土壌を好み、適度な湿度を保つことが重要です。耐寒性はありますが、冬季は地上部が枯れるため、鱗茎の保護が必要です。

　鑑賞には、庭植えや大型の鉢植えが適しています。自然な雰囲気を出すなら、林縁や草地を模した環境で育てるのが理想的です。また、切り花としても人気があり、その大輪の花と強い香りで室内を華やかに演出できます。

　ヤマユリは、同じユリ科の他の野生種と比べて特に大輪で香りが強いのが特徴です。例えば、カノコユリやササユリと比較すると、ヤマユリの花はより大きく、香りもより強烈です。また、オリエンタルハイブリッドと呼ばれる多くの園芸品種の母株としても重要な役割を果たしています。

　ヤマユリには興味深い歴史があります。1873年のウィーン万博で初めて海外に紹介され、その美しさから瞬く間にヨーロッパで人気を博しました。大正時代までは、ヤマユリの球根は日本の主要な輸出品の一つでした。また、古くから日本人の生活と密接に関わってきた植物で、鱗茎は「ユリ根」として食用や薬用に利用されてきました。縄文時代の遺跡からもユリの鱗茎が出土しており、その利用の歴史の長さを物語っています。

　ヤマユリの花言葉は「荘厳」です。その大輪の白い花と強い香りは、まさに森の中の女王のような存在感を放ちます。ヤマユリを育てることは、日本の自然の豊かさと文化的価値を守ることにもつながります。ヤマユリは地域の象徴としても大切にされ、神奈川県花であり伊豆地方ではサクユリやタメトモユリと呼ばれる世界最大のユリがあります。また、ヤマユリの紅筋（べにすじ）という黄金色の筋が紅色の筋に変化した稀少な変異株があります。

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