袂が浦断崖のユリ

Kuchinoshima_Lily
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一般名・商品名

タモトユリ

英名

Kuchinoshima_Lily

生態系被害防止外来種リスト(2020.11.02改訂)

スクロールできます
収載区分法的対応栽培
なし日本固有種なし注意点

紹介

 ユリ科ユリ属に属する多年草、学名は Lilium japonicum var. kuchinoshimense で花季は6月上旬から7月上旬です。タモトユリは鹿児島県トカラ列島の口之島にのみ自生する固有種で、国の天然記念物に指定されている極めて希少な植物です。原産地では袂が浦の断崖絶壁に自生していました。しかし、乱獲により野生での絶滅が危惧されており、現在は厳重に保護されています。

 花は純白で大輪、直径15-20cmほどの上向きの花を咲かせます。花びらの縁が波打つ優雅な姿が特徴的です。強い芳香があり、その香りは数十メートル先まで漂うほどです。葉は濃い緑色で光沢があり、茎に互生してつきます。

 育成には細心の注意が必要です。耐寒性はありますが、高温多湿には弱いため、風通しの良い環境が不可欠です。日当たりの良い場所を好みますが、真夏の直射日光は避けます。水はけの良い土壌を好むため、鉢植えの場合は排水性の良い用土を使用し、過湿に注意が必要です。

 鑑賞には、ロックガーデンや大型の鉢植えが適しています。自然の岩場を模した環境で育てることで、より本来の姿に近い成長が期待できます。また、その希少性から、保護・増殖を目的とした栽培も重要です。

 タモトユリは、同じユリ科のヤマユリやカノコユリと比べ、より上向きの花を咲かせる特徴があります。この特性は、後にオリエンタル系園芸品種の開発に大きく貢献しました。特に有名な「カサブランカ」は、タモトユリの遺伝子を受け継いでいます。

 タモトユリには悲しい歴史があります。その美しさゆえに乱獲され、野生での絶滅の危機に瀕しました。戦後、貧困に苦しむ島民が高値で買い取られる球根を採取し、欧米の園芸業者の手に渡りました。その結果、野生のタモトユリは姿を消し、代わりに園芸品種の改良に使われることとなりました。現在、口之島では地元の保護団体や研究者によってタモトユリの復活プロジェクトが進められています。しかし、純粋な系統を維持することの難しさに直面しています。タモトユリを育てることは、単なる園芸趣味を超えて、日本の貴重な自然遺産を守り、その歴史と価値を後世に伝える重要な役割を担っています。

販売

原種ユリ 球根 タモトユリ 1球 / 国華園 24年秋商品

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