一般名・商品名
ヤナギバルイラソウ
英名
Mexican Petunia
生態系被害防止外来種リスト(2020.11.02改訂)
収載 | 区分 | 法的対応 | 栽培 |
---|---|---|---|
あり | その他の総合対策外来種 | なし | 注意点 |
紹介
キツネノマゴ科ルイラソウ属に属する多年草。学名は Ruellia brittoniana で、花期は初夏から秋(6月〜10月)です。ヤナギバルイラソウは、メキシコ南部からブラジル北部の熱帯アメリカ原産で、1970年代に沖縄を経由して日本に帰化しました。
ある日、空き家の玄関が遠目から見ると青い花で溢れています。誰か花好きの人が入居されたかと思いながら近くまで来ると、ヤナギバルイラソウが空き家の玄関を埋め尽くしていました。紫の星を散りばめたような美しさは人々の心を魅了しますが、同時に驚異的な生命力で周囲の植物を圧倒してしまう、美しくも危険な侵略者なのです。
4〜5cmの花は、サザンクロスを思わせる5枚の花弁が特徴的で、淡い紫から濃い紫まで、様々な紫の色合いを見せてくれます。花びらには繊細なシワが入り、朝日を浴びると宝石のように輝きます。葉は細長く、柳の葉に似ていることから「ヤナギバ(柳葉)」の名がついています。
ヤナギバルイラソウは、驚くべき適応力と繁殖力を持っています。日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも育つことができます。乾燥にも強く、いったん根付けば、ほとんど手入れをしなくても生育します。この強靭さが、時に問題を引き起こすこともあります。
庭や公園、道路脇などで栽培する場合は、その旺盛な繁殖力に注意が必要です。種子は風で飛散し、茎の断片からも新しい株が育ちます。一度広がると駆除が困難なため、鉢植えでの栽培がおすすめです。鉢植えなら、その美しさを存分に楽しみつつ、拡散を防ぐことができます。
同じキツネノマゴ科のキツネノマゴとは、花の形が似ていますが、ヤナギバルイラソウの方が大きく華やかです。また、ペチュニアに似た花を咲かせることから「メキシカンペチュニア」とも呼ばれますが、ペチュニアとは全く別の植物です。
メキシコの伝説では、ある若い戦士が敵に囲まれ、逃げ場を失った時、神々に助けを求めました。神々は彼の勇気に感銘を受け、彼を美しい紫の花に変えたといいます。それ以来、ヤナギバルイラソウは勇気と変容の象徴とされ「正直」「勇気と力」「愛らしさ」という花言葉があります。
ヤナギバルイラソウは、その美しさと強靭さゆえに、私たちに自然の複雑さを教えてくれる存在です。適切に管理すれば素晴らしい園芸植物となりますが、野放しにすれば生態系を脅かす存在にもなり得ます。