園芸種から見る系統樹– category –
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園芸種から見る系統樹
分子系統学の大ナタ:ユリ科の大分裂とキジカクシ目の台頭
ユリ科の大分裂 クロンキスト体系や新エングラー体系などの旧分類体系からAPG体系への移行で、大きな出来事として「ユリ科の大分裂」が話題になります。「ユリ科の大分裂」とは、果たしてどのような状況だったのでしょうか? 単子葉植物の分類:目レベルの分裂 単子葉植物の分類を、旧体系のクロンキスト体系および新エングラー体系、新体系のAPG体系で並べてみます。背景薄オレンジの目はAPG体系で消滅した目を、背景薄青の目は新たに登場した目を示しています。 単子葉植物:目レベルの分裂 クロンキスト... -
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仮面舞踏会の哀愁:ゴマノハグサ科の解散と再結成
ゴマノハグサ科の解体は、植物分類学における劇的な変更の一つです。ゴマノハグサ科は、クロンキスト体系(1981)では約200~300属、3000~5000種を含む大きな科でした。しかし、最新の分類体系であるAPG IV (2016) では、約56~65属、約1200~2100種と大幅に縮小されました。多くの色彩豊かで容姿麗しい園芸種が、オオバコ科に移動しました。寄生植物や半寄生植物もハマウツボ科に移動しました。一世を風靡し華やかであった饗宴は幕を閉じました。一方、フジウツギ(ブッドレヤ)属やハマジンチョウ属はゴマノハ... -
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さまよえるムラサキの巨大浮島
美しい花々で私たちを楽しませてくれるムラサキ科の植物たち。しかし、その分類の歴史は「さまよえるムラサキ」と呼べるものでした。ムラサキ科の植物たちの魅力と、近年ようやく落ち着いた新天地「ムラサキ目」について覗いてみます。 系統樹:シソ類 (真正キク I) - ムラサキ目 PAG IV 略図 ムラサキ目 (Boraginales) 形態学から分子系統学へ ムラサキ科は約100属、約2,000種という巨大なファミリーを誇り、世界中に分布する多様な植物群です。美しい花々で私たちを楽しませてくれるムラサキ科の植物たち、... -
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藻やコケを愛でる
系統樹:藻類・コケ植物・小葉植物 植物界の始めの層にある藻類やコケ植物を愛でる機会はあるでしょうか? 藻類・コケ植物・小葉植物 系統樹(Phylogenetic tree) 系統樹を見るとき、その読み方に悩んだことはありませんか? 例えば、小葉植物と大葉植物の二股を見て、”このころの地球は小葉植物に溢れていて、その中から大葉植物が進化して行った”、それとも”様々な形態や遺伝子構造を持つ多様な維管束植物から、始めに小葉植物が進化して行った”、どちらの解釈が正しいのでしょう? 系統樹の横線は時間...